18ステラ世代の低摩擦ローラークラッチですが、14ステラ世代のローラークラッチより形状がより小さく繊細に進化しました。その為、パーツの組み上げ難易度が格段に上がっています。
本来は、このローラークラッチ自体を分解してオーバーホールをすること迄は想定していないと思われますが、構造上の難点がありました。

それは、自身でオーバーホールすると分かりますが、この低摩擦ローラークラッチというパーツ、オーバーホールなどの組み上げの際、以前のローラークラッチより圧倒的にバラバラになりやすいんです。
ローラークラッチの調整が必要なケース
そして必ずしもローラークラッチが原因ではないですが、ローラークラッチの調整で症状が改善することがあります。
ハンドルが逆回転になる
逆回転の症状はローラークラッチが噛み合っていないことで発生します。
オーバーホールの際にバラバラになってしまった
冒頭に紹介した通り、組み上げの際に玉が取れてしまう等です。
回転の際にゴリ感がある。ハンドルのブレがある
ローラークラッチの心出しが出来ていない可能性があります。
低摩擦ローラークラッチの組み上げ失敗例
バラバラになった、もしくは調整の為にバラシたローラークラッチの組み上げの仕方について紹介します。

この組み方ですが、間違いが一か所あります。

間違えても組み上げ出来てしまうので、そのまま設置するとハンドルが逆回転しかしない状態に。
正解は、
バネの向きが逆
以下の写真は誤った例です。

正しくは以下の写真の赤い線の位置に、バネが接触するように組んでください。

バネのセッティングは容易になりましたが、この玉とバネの調整が非常に難しいんです。
精度の高いピンセットと

ピンバイスに針(ニードル)をセットしたものがあれば、
例えば↓↓↓


玉(ニードル)のセッティングが容易になります。
組み上げのコツ
バネ→玉→リングの順で組むより、バネ→リングでいったんバネを固定してから玉を入れるほうがやりやすいです。
バネと玉の位置が合わないと正常に機能しませんので、3回位やり直しました。組み上げ精度が低いと、ローラークラッチが機能せず、逆回転してしまいます。
あと、ローラークラッチインナーというローラークラッチの内側のリングのようなものがありますが、ローラークラッチを本体に組み込んだ後に差し込む方が玉がばらけるトラブルは少ないと思います。
恐らく、先にローラークラッチインナーをメインシャフトに通して、ピニオンギアの上部にセットし、そしてローラークラッチを被せるように組んでしまいますが、そうするとバラけやすい訳です。
なお、目視でフチが太い側と細い側が確認出来ると思いますが、通常は細い側が上向きに来るようです。
また、ローラークラッチインナーを逆向きに組んでも特に影響はないと思われます。
ローラークラッチの取り付け方
それでは組み上げたローラークラッチの取り付け方を紹介します。

ボディ側の赤い印の窪みと青い印のネジ穴を

ローラークラッチの出っ張りの赤い印とネジ穴の青い印を合わせて組んでください。

そして、ローラークラッチは金属のパーツでカシメる容量で玉が落ちないように固定しているんですが、仮止めのような力で止めているだけなので。

不用意にローラークラッチを逆さまにすると、玉が落ちてしまいます。
ローラークラッチを取り付ける時は、本体のリール側を逆さまにして、クラッチの上に乗せるように取り付けるほうが安全ですね。

それぞれのパーツが以前のローラークラッチより小さく細かい為、かなり繊細な作業が必要になります。

ネジを3か所止めたら、ローラークラッチインナーを上から放り込んで。

ローターカラーとフリクションリングを取り付けてセッティング完了です。
まとめ
重要な点は2つです。
1.ローラークラッチ自体を組み上げる際には、玉とバネの位置を気を付けること。
2.組み上げたローラークラッチを本体に取り付ける際は、中身をばらさないよう本体を逆さまにしてローラークラッチに乗せるように取り付けること。
この2点を注意すれば、恐らくローラークラッチがバラバラになっても再度元通りにできると思います。
ただし、作業は非常に繊細です。
バラして組み上げが出来ない時は組み上げを行っておりますので、気軽にお問い合わせください。
コメント
コメント一覧 (9件)
19ストラディックのグリス抜きで分解しました。
こんな簡単にローラクラッチがバラバラになるとは思わず•••。
組み直しの参考にさせて戴きました。
大変参考になり大助かりでした。
ありがとうございます。
参考にしていただきありがとうございます。
かなり繊細なパーツになりましたよね。その分軽量化と防水性能が向上してるみたいです。
Thank you! Excellent post! Helped me a lot!
シマノ 19 シエナ C3000 3号糸付き
購入して一年になるので、自分でオーバーホールしようと分解したところ、ローラークラッチ組のローラーが
通常6個入っていると思いますが、3個しか入ってなかった。これは、手抜き組み立てでしょうか、それとも、
仕様でしょうか?
純正で玉が3個のリールは見たことがないので、新品を購入でしたら組み立て時のミスだと思いますね。
なかなか無いことだと思いますが、人が組み立てているので一定数はあるのかもしれません。
コンプレックスXRを購入した時、グリスが多かった感じがしたので分解したらローラークラッチがバラバラになってしまいました。
組み立てたら逆転するはめに。
ネットで探していたら辿り着きました。ありがとうございます。大変参考になりました。
貴重な記事、大変参考にしております。
「シマノ ネクサーブC3000HG」に砂が入りまして、分解したところ、
誤って、クラッチをばらしてしまいました。取説の図にはクラッチ内部の構造図がないため、WEBを参考に、清掃後、正規のグリス、オイルを購入して組みました。
ところが、正回転にブレーキが効き、展逆転しかしない状態です。何度も組み直しましたが(10回ほど)、原因がつかめません。
ご教授お願いできるでしょうか。アドバイスだけでもいいので。
お問合せありがとうございます。
逆回転しかしないということでしたら、ばねの向きが逆かもしれません。
また、ローラークラッチを本体に取り付ける際に、レバーの突起とクラッチ側を合わせる必要があります。
ここが合わないとレバーが正しく動きません。
こちらの記事がネクサーブと同じ世代のローラークラッチです。
https://erengeworks.com/maintenance/simano-reel-roller-clutch
ご参考になれば幸いです。
ここを参考に無事に組み終えました!逆回転のガタつきも少なくなって最高です。ありがとうございました。
1点、この銀枠の部分ですが、表裏があるようで、ポッチのへこみがある方が見えるように組まないと逆転しました。よく見ると玉がバネの力で回転軸側に入るように傾斜があるみたいです。