22ステラ C2000Sのオーバーホール依頼をいただきました。

ソルトで使用するようになって、ラインローラー、ドライブギア左右のベアリングに注油するようになったそうです。
その後異音が発生したとのことで、ラインローラーにも不具合が出ているとのこと。
Xプロテクトラインローラーの注意点
スプール、ハンドル、ローターを洗浄します。

22ステラのラインローラーですが、Xプロテクトというフッ素グリスで完全防水加工されたラインローラーです。
このグリスはオイルでは溶けず、物理的な個体のまま残ります。

フッ素オイルであれば固定したグリスが安定するのかもしれませんが、一般的なオイルを注油しても喧嘩してしまい、ラインローラーがゴロゴロになってしまう原因になります。
なお、本来分解は推奨されていないのですが、ラインローラー内部のベアリングのみを交換することもできます。

特殊なサイズなので、一般では流通していないですが、シマノさんのパーツとして入手できます。

いったんグリスやオイルを入れずに組みます。

結局完全脱脂してオイル仕上げでもいいですし、フッ素グリスで組んでメンテナンスフリーでも良い訳です。オイル仕上げの場合は、デチューンしてストラディックに搭載されている1BB用のブッシュに交換すれば汎用ベアリングに交換することもできます。
純正のラインローラーに交換すると約4,000円です。ベアリングのみ純正に変更すると1,375円です。
選択支がいくつかありますが、コスパを考えると純正ベアリングでフッ素グリス仕上げでノーメンテが一番良いかもしれません。
なお、ラインローラーはフッ素グリスで仕上げました。

ハンドルノブの交換
持ち込みのハンドルノブに交換します。

シム調整を行います。ハンドルノブに搭載されているインナーを組み込むとベアリングノイズが早期に出やすい傾向にありますね。

ドラグは純正グリスで仕上げました。

ボディへのオイル注油の影響
続いてボディ内部です。
ローラークラッチにオイルが浸透しています。

ドライブギア、

メインシャフト、

中間ギア周りにもオイルで少し伸びた感じがあります。

ベアリングはグリスが浮いていますね。

オイル注油によってボディ内部のグリスが流れてしまったり、緩くなり異音が出たり、不具合を発生されることがあります。
本来は維持のための注油ですが、ベアリングやパーツの寿命を早めてしまうことも。
使用頻度や使用フィールドによってメンテナンスは様々ですが、週1のおかっぱり使用などであれば、ソルト使用であってもボディ内部やラインローラーへの注油はほとんどしなくてもある程度状態維持してくれます。
特にアジングで使用するライトラインであれば、潮を巻き込むこともあまりないので、年に数回注油する位でも十分だったりしますね。
あまりメンテしないようなアナウンスはケミカルメーカーに怒られそうですが、最近のシマノの上位機種だと、個人的には顕著にノーメンテでも変化しづらい製仕上がりになっていると思いますね。
ボディ内部のオーバーホール
全体を洗浄して。

各ベアリングをチェック。NEMEAで仕上げてみましたが、異音があるのはピニオンギア下のみ。

ここも大きな不具合ではなく、シャリシャリとしたフィーリングが出ているので、高耐食ベアリングに交換しました。
ピニオンギア下以外はオイル仕上げとしています。

なお、ボディにはOMEGAグリスを添付して。

ドライブギアはTHETAグリスで仕上げます。

緩めのグリスですが、C2000Sだと高負荷を意識したグリスアップより、なめらかさと軽さを両立したケミカル選択としました。
仕上げに水性ガラスコーティング剤を添付します。

作業完了です。
ラインローラーの仕上げのみ残っておりますのでご確認ください。なお、もともとの状態も良かったので、巻き心地はスムーズかつ無音に近い巻き感です。
ありがとうございました。

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