erengeWorksのリールメンテナンスの考え方

私たちのリールメンテナンスの考え方について。

一般的なリールメンテ業者とは少し違った内容もあるかもしれませんが、お時間がある時に読んでいただけると幸いです。

リールメンテナンスとは?

リールメンテナンスとは、釣りをする際に、不具合・違和感なくリールが使える状態にすること、または使える状態を維持すること。

定期的なグリス、オイルアップにより、リールが使える状態を維持します。

私たちは、お客様の代わりにリールメンテナンスの手段としてオーバーホールや修理を行うのですが、オーバーホールという行為は【リールを使える状態にする】もしくは【リールが使える状態を維持する】ための作業を指します。

そのため、完全分解によるフルオーバーホールを行う必要があるかどうかは、リールそのものの状態によってまちまちですよね。

フルオーバーホールを行う意義とは?

では、『ある一定期間使用したリールに完全分解によるフルオーバーホールが必要か。』というと『すべてのリールにフルオーバーホールは必要ではない。』ということが成り立ちます。

つまり、ご自分で日々のメンテナンスする方でしたら『必要な作業を必要な時にするだけで良い』ということになってきますが、仮に私たちが『メンテナンスの必要な個所への作業のみでご依頼を承ると、費用感としてフルオーバーホールよりも高くなるケースが出てきてしまうんです。

具体的には問題個所の特定とその作業のみだと、問題個所の特定までの作業時間を加算する必要がでてきて、その作業時間を価格に転嫁しないといけなくなるわけですが、不具合の原因がはっきりしない場合において、フルオーバーホールするほうが作業そのものの時間が短くなるということなんですね。

完全分解の完全洗浄、汚れの強い個体や古い機種については超音波洗浄を行います。

上記の理由からリールメンテナンスのご依頼においては、完全洗浄のフルオーバーホールでの受付を基本としております。

リールメンテナンス=確実に状態が良くなるのか??

リールを分解することに対する見解の一つですが、分解する回数が多いと分解作業による不具合が発生するリスクも多くなると考えております。

なお、分解作業における不具合とは、『作業員の能力的な問題というよりリールパーツや製品の強度の物理的な環境に左右されるものです。

例えば、樹脂製のボディのリールの固定ボルトにはタッピングビスを使用しているケースがほとんどで、何度も緩めたり締めたりを繰り返すことでボディ側のねじ山が少しずつ緩み、ねじ山が破損してしまって止まらなくなる等のリスクがあります。

ネジを舐めるリスクや、ローラークラッチやボディガードの樹脂のネジ山が緩むケースがあります。

上記の一例以外にもいくつか事象はございますが、完全分解によるオーバーホールを行えば、確実に新品のようになるということは当てはまらず、経年使用に伴って、リールを構成するパーツは確実に少しづつ劣化していくんです。

リールメンテナンスとは注油(オイルアップ)することなのか?

リールメンテナンス=注油と置き換えて考える方も多いと思いますが、実際はボディ内部のベアリングへの注油(具体的にはハンドルやハンドルキャップを開けてオイルを注油)することでベアリングの劣化につながっていることのほうが多い位です・・・。

オイル注油でグリス緩み、ドライブギアにグリスが残っていない状態の事例です。

劣化する詳しいメカニズムはわかりませんが、各社の純正リチウムグリスが充填されたベアリングにオイルを指すとグリスが流れて、ベアリングがオイル付けになり、早期にベアリングの摩耗、傷、劣化等が発生しているのではないかと考えております。

上記を前提に立てば、リールによっては高頻度のオイル注油によるメンテナンスはお勧めしないケースもあるということになってくるのは理解できると思います。

ただ、リールメンテナンス業者やケミカルメーカーやリール販売のメーカーの立場からすると、メンテナンス頻度が高いほうが経済活動としてマネタイズできる訳でして、二言目にはメンテナンス万能論を展開しているように感じます。

それぞれの主張している内容すべてが誤っているとは考えておりませんし、都度メンテできるのであれば、その通りにすればリールの状態は維持はできるんでしょうけど、私たちからすれば、不具合=オイル注油のみでは状況によっては改善せず悪化さえしうるリスクがあると考えております。

スピニングリールにおけるOHの目安とは?

オーバーホールの必要性は理解したけど、いつ出せばいいのか??

ほとんどの方はオーバーホールの必要性は理解しているものの、どのタイミングで出せばよいかわかりづらいと思います。

その答えとして、基本的には不具合が出てからで十分だと考えております。

ただ、不具合ととらえる尺度が人それぞれであるため、『使用してきたリールが使いづらくなった』とか、『異音が出た』とか、具体的な変化を感じた時、その時が一番の依頼のタイミングなのではないかと考えております。

ただし、特に最近発売されているスピニングリールに限ってではございますが、メンテナンスフリーをうたい、2年位何もせずともびくともしないリールが増えていることも事実です。

最近のスピニングリールは、リール本体をしっかり洗うことと定期的な注油(この頻度と量が難しいんですが)を行えば、何もしなくてよいというのが基本となってきます。

特に現行のフラグシップのスピニングリールは防錆性が高く設計されているように思います。

違和感が出てから注油しても遅いので、違和感が出たらシンプルにOHに出すということを意識するだけでも、お手持ちのリールと長く付き合っていけるんじゃないかと思います。