前編ではスペック等をチェックしていきました。

後編は分解による各パーツ等を検証していきます。

サイレントチューン、サイレントドライブの要
ピニオンギアのX-SHIPベアリングですが、抑え板が新形状になっております。

六角のバネで固定していましたが、抑え板をバネで抑えるだけとなり、半固定の状態となります。スプールベアリングもOリングのみでの固定となり、クリアランスがきれいに埋まりノイズが出づらくなっています。
サイドカバーのベアリング受け部は従来通りのバネで固定ですね。

もちろん、Oリングでがたつきが出づらい構造になっております。
そしてドライブギア軸のベアリングは2BB、Oリングでがたつきを排除。

ハンドル側に1BBなので、合計3BBで支える形です。
レベルワインドガイドを抑えるドライブギア軸固定版も形状も少し変わっております。

こんな感じで収まります。

いずれもサイレントチューン、サイレントドライブに貢献する仕様かと思われます。
ベアリングの状態
良くある症状ですが、X-SHIPベアリングの違和感。ベアリング内にグリス、オイルが混入しているようで重くなっていたり、ざらつきがある状態があります。

今回は巻き重りがありますね。
交換したほうがスムーズになると思いますが、結果的に同じようなフィーリングになることが多いので、このまま交換せずに作業していきます。今回は使用2回ほどですが、新品未使用でもよくある状態です。
そのため、巻き感にこだわる人だと初期状態におけるベアリングチェックが重要です。気にする方には新品の作業においても交換のご提案はしますね。
個人的にはこの程度であれば許容してしまいますが・・・。
サムレストとレベルワインドの分解
サムレストというフレーム上部のパーツが外れる仕様になっておりますが、固定ボルト下にシムが収まっております。もちろんボディ用の固定ボルトも同様にシムがあります。

サムレスト内側とフレームにかかる間にもシムがあります。

サムレストが外れるとレベルワインドを分解することができます。

Eリングを外すと、ウォームシャフトブッシュが内部に装着されており、ベアリングでの支持ではなくなっているんですよね。

確かにウォームシャフトをベアリングで受けるメリットはあまりないかもしれませんし、ブッシュで受けるほうがノイズ等を減らすことができると思います。またウォームシャフト自体もプラスチックで形成されており、従来モデルから比べるとノイズを低減しスムースな巻き心地を体現する作りになっていると思います。

ウォームシャフト左右のシムも、プラシムを使うことで、余慶やクリアランスをなくし、若干圧入気味で組み上げることでガタツキを極力回避しているように思います。
洗浄完了&BOREDケミカルで組上げ
洗浄完了しました。

ここから組み戻していきます。
レベルワインドピンにシムを入れて。

ウォームシャフトはOMEGAを添付。

レベルワインドガードを装着しガイドを入れて。

サムレストを装着します。
ボディ側は長いねじ。

サイドカップ側は短いネジを2本ですね。

クラッチカム周りをBSLUでオイル潤滑します。

ドライブギア軸にも添付。

ウォームシャフトギアはOMEGAを添付し、極力余分につけないようにします。まとわりついて巻き重りにつながることを防ぎます。

ドライブギアは、DELTAとSIGMAを混合して添付。

ローラークラッチをNEMEAで仕上げてチューニング完了です。

技術特性の表現では中々掴み切れない特徴等は、現物をチェックしてみないと設計コンセプトの理解は難しいですよね。特に違和感が出たり、不具合がある所は中々見当たらず、かなり完成されたリールだと思います。
何度かキャストしてみて感じる点としては、ドンピシャのルアーウェイトでキャストがうまくはまった時は非常に気持ち良く投げることができます。
うまくキャストできるまで大変なリールではありますが、使いこなせるようになってくると非常に面白味を感じさせてくれる楽しいリールになると思いますね。

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