14ステラC2000SのOH依頼です。
ハンドルのがたつきを取ってほしいというご依頼ですが、確かにがたつきがあります。
2年ほど前に中古購入なさったそうです。
ローター、ハンドル周りの状態は?
IOSさんでチューニングされた個体のようで、グリスが薄めでケミカルも無駄がない仕様です。
またローターナットベアリングのブッシュがオリジナルで現行の22ステラで使用されているようなブッシュが搭載されています。
IOSインパクトラインローラーへ変更されており、ローター振れがあるので調整します。
ねじの素材を変更しようか迷いましたが、内部のアームローラー座金の素材を変更して対処します。
ジュラルミン製→ステンレス製にて自重UPにより解消しました。
スプールは純正グリス、ベアリングはグリッチオイル仕上げです。
ハンドルノブ、スプールベアリングはタンブルウィードを使用。
ラインローラーベアリングはパッシブを使用しました。洗浄した際に若干ノイズがあるかどうか微妙なところでしたが、オイル仕上げで違和感は消失しました。
ボディ内部の状態は?
ボディ内部を開けます。
ご自身でメンテされているようでグリスのバランス感覚はばっちりです。
中間ギアやウォームシャフトもそこまで気になる調整具合ではないですね。
ただ、ボディ側にシムが入っています。
ここにシムを入れる方がいますが、基本的にはあまりいい効果はありません。
洗浄しました
なお、少しくすんだ汚れがありますが、全体としてはそこまでグリスやオイル汚れがあるわけではないです。
シム調整のポイントは?
該当のシムが歪んで、ヨレで切れてしまいました。
なお、サイズを確認したところ、0.65mm分シムが入っていましたが、
右側にハンドルを入れた場合、ベアリングに軸が密着しないことが分かります。このクリアランスを埋める必要はなく、むしろクリアランスは気にしなくて良いです。
ドライブギアとピニオンギアが密着することで、それ以上ボディ側にドライブギアは動かない訳です。ドライブギアのみでボディを合わせるとわかりますが、左右のクリアランスは0.1mmレベルどころか1mm以上あります。
仮にあえて調整するなら、ボディとベアリングの間に外径11mmのシムを入れるほうが良いです。
ドライブギアのシム調整で5回位組みなおしましたが、結局0.75mmで決まりました。
元から0.1mm追加した状態です。ボディ側のシムは0.03mmのものだったので、元々の調整レベルだとクリアランスが大きすぎる状態です。
中間ギアの遊びも極力とります。
0.05mmのシムを追加です。
純正の状態だとピニオンギア上部に0.03mmのシムが入っていることが多いですが、ここには何も入っていませんでした。おそらくドライブギアのボディ側に誤って組んでしまったのかもしれません。
ステンレスのシムを入れます。0.03mmです。
クリアランスはばっちりです。
ベアリング交換と仕上げ
ベアリングの状態をチェックしたところ、ボディ内部はピニオンギア下、ボディ側のベアリングにざらつきを認めました。
ここはシンプルにベアリング交換します。なお、ピニオンギア上部はグリッチオイルのパッシブ、ハンドル側のベアリングはロサでオイル仕上げです。
ボディの要所はタンブルウィードを純正グリスDG06を添付して、ドライブギアはアブガルシアのリールグリスを使用しています。
ローラークラッチはパッシブ。
キャストの際にローターが滑るということでしたが、グリスがほとんど付いていないので滑っている状態。
グリスを添付して適度な抵抗感に仕上げました。
ざらつきの原因は?
で、組んでみてざらつきがあるので、ベアリングを交換してテストしますが、ベアリングではなくメインシャフトとボディバランスの問題のようです。
基本的にはスプールを載せなければスムーズなんです。スプールを載せるとノイズがでて、調整が効かないレベルで。
ローターナットベアリングのざらつきがあるので、ここも結局交換しました。
最終組みます。
ショートハンドルに変更されており、C2000Sだと右のものが純正サイズです。
※写真は22ステラのものです。
ショートハンドルだとノイズを感知しやすいので、ざらつきやがたつきを感じやすくなっている状態にあると思われます。
ガタツキを取ってみて、ざらつきが少し出ている状態ですが、純正のハンドルで回したところ良好な巻き感に仕上がりました。
巻き感がもう少しよくなればいいのですが、その場合は遊びをもう少し設けて、がたつきを犠牲にするほかなさそうです。
現状でもわずかに甘く組んでいますが、ベアリング交換による効果もそこまで見込めないため、現状の仕上がりとしました。
ありがとうございました。
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