ベアリングに使用するグリスに関する考察です。
巷には色々と情報がありますが、セルフメンテナンスする上でのグリスの選別方法と注意点をまとめておきます。
もくじ
ベアリングの脱脂の手順
ベアリングの脱脂の方法についてです。
まずシールドベアリングですが、以下のリンクで紹介している通りにやれば容易に脱脂できます。
シールドを外す針がなまって外しにくい時は?
ホーザンのステンレスプローブ、もしくはまち針を使用する場合においても、針の先端がなまってくるとシールドのリングが外れにくくなってきます。
自分はルーターで先端をとがらせています。
ダイヤモンドカッターの側面に針の先端を当てると、短時間で研ぐことが出来ますよ。
シールドが外せないタイプのベアリングは?
シールドが外せないタイプの場合は、これを使うと洗浄が便利です。
ABC HOBBY ベアリング リフレッシュセット です。
あとは、パーツクリーナーを用意すればバッチリ です。
もちろんグリスを圧入も出来ます。
グリスの選定
ベアリングに使用するグリスですが、基本的には主要メーカーのグリスをそれぞれ使っています。
例外としてスプレーグリスを使用するのもありですが、事前に容器に吹き付けて固まるのを待つ必要があるため、少々使いづらいかもしれません。
では、具体的なグリスを確認していきます。
シマノ DG-06(SHIP-0)
シマノ純正のグリス、DG-06です。
さらっとした使用感で、ベアリングへの使用、クロスギア、負荷が掛かりにくい中間ギア等へ使用します。
このグリスは経年劣化で固くなっていきます。
ギア馴染みが良く、ベアリングもヘタリを起こしにくい印象があります。
ダイワ メンテナンスグリス 104
SLP(ダイワリールのメンテナンス用のメーカー)専用のグリスです。
シマノDG06より若干しっかりとしたフィーリングですが、使用感は概ね変わりません。
DG06と同様、メインギアへの使用は避けた方がいいです。
価格差を考えるとシマノの方が安い(約2.5~3倍程度の価格差があります。)のですが、グリスとしては非常に使いやすく、利用用途も幅広いと思います。
高級志向の方にはお勧めの使用感です。
グリスアップの方法
今回はメンテナンスグリス 104を使ったグリスアップの方法を紹介します。
シールドを取ります。
筆にグリスをとり、
グリスを塗ります。
このグリスだと適量ですが、シマノDG06だともう少し入れた方がいいかもしれません。
パンパンになるまで入れる必要はないです。
ベアリングチェックツールやピンセットに保持して、馴染ませます。
シールドをしてからでもいいですし、分量を調整する場合はシールドがオープンの状態でもいです。
Xプロテクトラインローラーのグリスアップ
シマノの17ツインパワーXD以降のスピニングリールですが、Xプロテクト搭載しています。このXプロテクトラインローラーには撥水タイプのグリスが必要です。
このラインローラーは注油厳禁で、一般的なオイルや、先ほど紹介したDG06等を添付すると撥水グリスの性能が損なわれます。
加えて、一体型ラインローラーの場合はパーツクリーナーで洗浄することでカラカラと異音が出るケースも。
シマノ 特殊撥水グリス DG18
Xプロテクトには以下の特殊撥水グリスが使用されています。
この特殊撥水グリスですが、フッ素グリスと呼ばれるものが使われています。
AZ フッ素グリース BGR-001
自転車用と記載がありますが、
AZのフッ素グリスがシマノ特殊撥水グリスとほぼ同じフィーリングで使用できます。
DG06や104とはまた違いますが、さらっとしたフィーリングです。
価格差がかなりあり、特殊撥水グリス4gに対し、フッ素グリスが15g。金額的にも特殊撥水グリスの方が1.5倍程度高いです。
ざっくりですが、7~8倍程度の差があります。
グリスの使用感が少し固く、ラインローラーの回りが悪い、という声もあるようですが、実際ヘビーユースでもかなりの対浸水性を誇ると思います。
フッ素グリス使用上の注意点
特殊撥水グリスの主成分であるフッ素グリスですが、使用の際には注意が必要です。人体への危険もあるので要注意です。
1.火気厳禁
フッ素グリスを燃やすと有毒ガスが発生するそうです。
その為、たばこの火やライター、ルーターやドリル、グラインダーの使用等で高温になる場合は注意が必要です。
2.別のグリスやオイルの注油や混合使用NG
フッ素グリスは単体使用が推奨されます。
その為、
ラインローラーの動きが悪いからと注油するとあっという間にコロコロとノイズが発生します。
また、グリスアップする際も別のグリスを入れるとグリスが流れ、同じく異音が発生したりします。
セルフメンテナンスのポイント
最後にセルフメンテナンスのポイントを4つまとめておきます。
1.ばらすための道具がそろっているかチェックする
メンテナンスする上でグリス選びはもちろん重要ですが、まずきちんと道具をそろえてから行うようにしましょう。
2.いきなりメインのリールをばらさない
またメインで使用しているリールをいきなりばらしたりするのはリスクが高いので、サブ機や過去に故障したリール等で練習するなりして、リールの構造が理解できてから本番を行うようにしましょう。
3.WEBやSNSの情報を信用しすぎない
インターネット上にある情報やYOUTUBEの情報を信用しすぎないようにしましょう。
確実に正しい情報が紹介されていればいいのですが、誤っているケースもあります。
その為、複数の事例を参考にする等して、検証するようにすると失敗やミスは防げるようになります。
4.グリスアップした箇所へオイルを注さない
最後ですが、グリスアップした箇所へのオイル注油は基本的に控えるようにしましょう。
多いのはドライブギア軸への注油で、上記で紹介したシマノ、ダイワのグリスもオイルで流れてしまいます。
そうなるとボディ内部にグリスが蓄積されていき、リール全体のケミカルバランスが崩れます。
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