修理&オーバーホール依頼です。
16セルテートです。

今回改めて作業の際に、マグシールド温存できないリスクを説明してご依頼頂きました。
マグシールド温存して作業できない訳ではないのですが、流通しているマグオイルの効果に関してどこまで信頼できるかわからない点と、組み戻すだけなら作業する必要のない個体もあると思います。
この辺の考えはかなり個人差があるので、どのように扱うべきか非常に難しいです。
マグシールドというものは悪いものではないのですが、
メンテナンスフリーという謳い文句(実際はそこまで言っていないですがそう思って購入する方がいるでしょうね。)ですが、実質はメーカーオーバーホール前提となってしまう訳ですから。
16セルテートのドラグノブの分解方法
ダイワのドラグノブは分解しづらいですね。

手順を調べても出てこなかったので、リスクを負って分解しました。

・パッキンを外す。
→パッキンを外側に引っ張るとゴムが少し伸びて外せます。
・パーツの隙間が出来るので、マイナスドライバーを白色やじるしの所に差し込んでテコの原理を利用して引き上げる。

1のパーツと2のパーツの間に入れます。
赤い〇がツメになって掛かっていますので、それが外れると分解出来ます。
ネジ山修復
ドラグノブを締める際にナットの山があらぬ方向にいってしまったようなので、ネジ山を再度切ります。

復活したかな?

初めは堅かったのですが、メインシャフトの負荷がかからないようにゆっくり何度も慎重にねじ込むと反対側からはスムーズにいくようになりました。

正方向でも入ることを確認したので組み戻します。
戻すのは簡単ですね。この時パッキンを忘れないにします。

上からかぶせて押し込むとツメが噛んでくれます。
オーバーホール&カスタム
16セルテートを分解するには専用工具がいります。
スプール受けの内部にあるネジですね。
これで分解できます。

4BB化
先にスプールとハンドルを調整します。

内部を洗浄します。
ドラグ部は洗浄せずにATDを温存します。

スプール内部にベアリングを追加。

7*11*2.5サイズです。

入れ替えるだけ。スプールシャフトもBB化します。
ハンドルノブはシムを1枚追加して、4*7*2.5の2BB化です。

フルベアリング化完了です。

ローターの引き抜き
ここを慎重にしないとマグシールドが抜けますね。
ローターを引き抜くとインナーが一緒に抜けてしまいます。

この状態になってしまう訳です。

慎重に戻すと元通りです。

ただ、この状態で磁石による巻き抵抗があるんですよね。
単純に組付けしてセンター出ししてマグオイルを入れればいいだけなんですが、この調整がかなり煩雑なのに、メインシャフト、クラッチインナー内部はフリーなんです。
通常使用だと合った方がいいですが、水没すると結局ボディを開ける必要がある訳ですし。
マグシールドレス化
マグオイルを落とします。

マグネットをカットします。

各部調整
ラインローラー部を開けてチェックしましたが、問題なさそうなので軽く汚れを落としてマグシールドを温存します。

ローターも全バラシです。

シム調整して組みます。

ガタツキはだいぶなくなりました。

ボディ内部です。

マグシールドベアリングは温存します。

グリスが変色していますね。

バラシて洗浄です。

組み上げ
ドライブギアはIOSギアグリス。

摺動部はシマノDG01、摺動子ギアはスミスリールグリスでしっとりフィールになるように調整します。

0.025mmのシムを入れましたが、ちょっとノイズが出るので0.01mmのみ追加。

組んでみてもう少し調整した方が良さそうなので、外側に0.01mmをもう一枚追加。

ピニオンのウェーブワッシャーはキャンセルしました。マグシールドを取ると感度が上がります。
結果ウェーブワッシャーのスレノイズが顕著に。

0.55mm程度シムを入れてガタツキがなくなりました。
ドラグノブですが、通常使用できるのですが、少し癖が残っているので17エクセラーのドラグノブからパーツを取る予定となります。
届き次第作業再開します。
ドラグノブ修理(2021/2/13追記)
17エクセラーのドラグノブが届きました。

内部を交換します。

このナットを入れ替えます。

ジュラルミンからステンレス製になります。
スプリングはそのままいけますので、ナットのみ交換。

交換完了しました。

元々のナットもある程度問題なくつくのですが、不意にずれると斜めに入るリスクがあります。使用の際はご注意ください。
あと、ほんの僅かですが、テンションとザラツキが目立つのでドライブギアのシム、結局0.01mmを1枚抜きました。
作業完了しました、ありがとうございました。
コメント