明日の記事に掲載予定ですが、今回23ヴァンキッシュの出荷前の組み上げミスと思われる個体がございました。
新品個体のスタートアップでご依頼いただきましたが、ドライブギアのシムが一切入っていないという個体でした。
22ステラ以降、ドライブギアにOリングが装着されたことでドライブギアとピニオンギアとの密着度が安定していたので、ギアクリアランスの違和感がなかったのかと思います。
加えて左ハンドルで社外製のハンドルだったことが、違和感を感じない原因になっていたのかもしれません。
メーカーの初期個体の組み上げは人がやります。人でないと正確な状態をチェックできないというか、
最終的には、人の手でないとフィーリングの違いを調整するのが難しいです。
メーカーのOHって?
メーカーOHも最終的な組み上げやチェックも人がやります。
どうしてもパーツの公差やエラーによる不具合は出てしまうので、検品も人が行う訳ですが、くみ上げの際に入れ忘れて、またチェックをすり抜けてしまったんでしょうね。
私はメーカー指定のOHについて詳しくわかりませんが、メーカーOHののちに作業させていただくこともあります。
その時にご依頼品等を見てみてわかることは、フィーリングに基づいた作業を行っていないということです。
フィーリングの調整=チューニングという要素が入ります。
メーカー側は基本的に各部の作業内容やパーツ構成をメーカー基準に従って組んでいるようで、特殊な作業はほとんど無くして効率重視にしていると思われます。
また指定箇所に指定ケミカルの添付量、シムの数量もある程度決まっているように思います。
実際、そうでないと時間や工数が多くかかり、採算が合わなくなりますので当たり前ではありますが。
OH・チューニングの生業にしている業者のOHは?
私も含めた、OH・チューニング業者のOHはどうかというと、メーカーの純正状態を維持した作業を行うところもあれば、機能的に向上するように、ケミカルを工夫したりパーツ自体に手を加えるような業者もあります。
ケミカルを独自に開発、混合して使用している業者、パーツまで作成している業者等多岐にわたります。
先日、リールケミカルメーカーが『他のメーカーとのケミカルをちゃんぽんするのはご法度』という記事がございました。これはぐうの音も出ない意見でして、私も反省するポイントがあり、極力ケミカルを統一するように努めています。
ただチューナーの立場からすると、ケミカル統一するメリットとデメリットがあると思っています。
結局単一メーカーのケミカルですべて仕上がるかというと物理的には可能なんですが、どうしてもグリスの特性とリールのフィーリングが合わないとか、オイルの特性が合わないとか、そういったことが起きてしまいます。
オイルは統一可能ですが、特にグリスが難しい。
そうなったときにできる限りバッティングしない構成で他メーカーで構成されるチューニングを行うことがあります。
ほとんどの業者がそのような工夫を行っているのではないかと思います。
リールのメンテナンスとは何か?
結局のところ、ノーメンテでリールを使用し続けることは不可能です。
お金があれば、ノーメンテで買替すればいいだけかもしれませんが、(もしくは都度メーカーやチューナーにメンテ依頼していただくことですね。)
実際はオーナーが注油することもあるでしょうし、その際、メーカー以外のケミカルを使用することもあるでしょう。
個人的にはスプレーオイルをボディ内部に吹き付ける行為はあまり推奨してはいないのですが、何も行わないよりましというケースもあれば、パーツ類の破損を早めることにもなるケースもあります。
要するに、
リールをどの期間をどのくらいの頻度で使用し、その間のメンテナンスをどう考えるか。
このことに尽きると思います。
ケミカルのちゃんぽんがNGとなってしまうと、リールを自身で分解できない方はメーカーケミカルのみという選択になってしまいますし、
そこまで厳密でもなくてもいいんじゃないかと思うこともありますし。
OH依頼いただいた個体の中には、
何もしないよりまし(注油しまくりでボディ内部がグリスまみれ等)
というケースもあれば、
これだったら何もしない方が良かったかも(グリスが流れてギアにケミカルが残っていない状態等)
というケースにもぶち当たります。
セルフメンテナンスの答え
セルフメンテナンスの答えとしては、メーカーOHを使えば問題ないということではなく、自分でできる範囲を決めて、自分ができない範囲をどうしていくかを検討すること が重要です。
その際に使用するケミカルもメーカー純正だけよりかは、ほかのメーカーのケミカルを触ったほうが総合的にメンテナンスのレベルが上がります。
少しづつでもいいので、ボディを分解してみてメンテナンスしてみるのも、構造の理解が実釣へのプラスの作用が働くことが多いように思います。
ただ、いきなりハイスペックなリールを分解するのは避けた方がいいですね。
始めは、使い古したリールや低価格のリールから分解する等、段階を追って作業をしてみることをお勧めします。
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