前回は全バラシして内部構造を分析しました。
今回は定番のBB追加カスタムをご紹介します。
ボールベアリング(BB)の数について
ベアリングの数にこだわる方がいますが、例えばオフショアでのソルト使用のリールなどはフルベアリングの場合メンテナンスコストが上がります。
なぜなら、オフショアでの使用は高確率でベアリングに海水がかかり、汎用のステンレスベアリングだと錆びることが多く、高耐食や防錆ベアリングを入れる必要があるためです。
また、構造的にベアリングである必要のない箇所(ウォームシャフトピン内部)に入っている機種もあるため、単にBB数が多い=性能が良いという関係は成り立たないんです。
しかし、最上位機種にはBBを最も多く搭載させて差別化しています。
安価なベアリングだと追加コストは安く済みますが、使用環境によってはハイスペックになるどころかメンテナンス回数が増えるだけ、ということもあり得ます。
今回追加する箇所ですが、上位機種には搭載されていて下位機種には減らされた箇所にBBを追加するので、基本的には巻き心地や使用感向上につながります。
ハンドルノブBB化
ハンドルノブのBB化。ハンドルノブの根元部にはブッシュが入っています。根元には海水、水が混入するリスクが非常に高いので合理的な構造です。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6626.jpg)
これをベアリングに変更するだけ。
23ストラディックのノブベアリングはS-ARBなので、汎用ベアリングを入れる場合はS-ARBを根元に入れて、キャップ側に汎用ベアリングを入れてください。
ウォームシャフトBB化
23ストラディックですが、ウォームシャフト上部の形状が特殊でして、22ステラべースでかつ18ステラと同じ構造(オシレーティングスピード)になっています。
中間ギア大を23ヴァンキッシュと同じところにいれています。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6655.jpg)
※仮にスーパースローオシュレート化しようとして、変則ギアである中間ギアCを入れようとすると上部ブッシュが干渉してはいらないと思われます。
そしてボディの形状が少しいびつでして、上部ブッシュはベアリングサイズが合わない。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6656.jpg)
交換できるのは下部のみです。
※ブッシュを加工すれば上部も入りますが、あまり意味がない改造になってしまいます。
ローターナットBB化
ローターナットのBB化。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6659.jpg)
交換パーツは18ステラパーツ一式ですが、ベアリングは一体型ではなく、22ステラからブッシュを取りました。
※写真ローターナットの左隣のシムは不要になります。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6660.jpg)
ベアリングサイズはこちらですね。ここは高耐食ベアリングを入れてください。
改造した印象からではありますが、パーツの精度自体はブッシュより一体型ベアリングのブラス製?のブッシュのほうが良いと感じますので、18ステラのパーツを移植する形でもいいと思います。
スプール受けBB化
スプール内部にはベアリング追加できませんが、スプール受けのBB化可能です。
ブッシュをベアリングに入れ替えてください。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6661.jpg)
注意点としてはピンの向きです。
逆につけるとドラグ音が鳴らなくなる場合があります。
ここも海水が混入しやすい箇所なので、高耐食ベアリングを入れてください。
仕上げ
最後にケミカルを紹介します。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6657.jpg)
ウォームシャフトをBOREDのOMEGAグリス。
ドライブギアをALPHAグリス。
ボディ内部はNEMEAオイル。
![](https://www11.a8.net/0.gif?a8mat=2Z8J9S+4HXXBM+3HPA+BWGDT)
ローラークラッチ、ハンドルノブ、ラインローラーはCHIMERAオイルで仕上げました。
23ストラディックのBB追加の改造を終えて
ケミカルバランスの調整とベアリング追加で、かなりフィーリングが良くなりました。
![](https://erengeworks.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_6662.jpg)
初期状態が重いリールのありがちなのが、新品から数回(5回位?)使用するとリールが軽く滑らかになってくると思いますが、その作業が不要になる感じに近いですね。
なお、パーツ不良の個体は5回使用しても違和感が消えないので、初期状態で改造、チューニングを行っても違和感が消えない場合はパーツ不良の個体の可能性が高いです。
次回は期間が少し開くとは思いますが、ウェーブワッシャーから平シム置換によるハイパフォーマンスチューンを紹介致します。
インフィニティループ実装完了しました。
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